腹黒王太子の華麗なる策略
松明は幾千もあるように見える。

あれは……。

「兵だ」

王都に向かってる。

嘘でしょう?

このままだと王都に侵入されちゃう!

「知らせなきゃ!」

みんな宴で盛り上がっているし、何の備えもない今攻め込まれたら王都は陥落する。

そしたら……クリスも殺されてしまう。

そんなの……嫌!

踵を返して城に戻ろうとしたら、赤黒い閃光が私の目の前に落ちて私の行く手を阻んだ。

周囲を覆う煙でコホッコホッと咳き込む私。

そんな私の横でモコはウーッと唸っている。

「な……何なのさっきの光?」

咳をしながら自問自答する。

すると、よく知った人物が煙の中から出てきた。

「お前がひとりになるのを待ってたよ」

それは、国外追放になった前皇后。

「……フィオナ様?」
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