腹黒王太子の華麗なる策略
何かが来る!

そう感じると同時に、ピカッと眩い光が私を覆い、モコが巨大化して白い獣に変身した。

鋭い牙でツルを噛み千切るモコ。

その姿を目の当たりにし、驚きで声を失う私を口に咥え、モコはフィオナ達と距離をとる。

「これは……伝説の聖獣!」

モコを見て歓喜に震えるフィオナ。

『聖獣』?

どうしてモコはこんな姿に?

「聖獣ごと捕らえれば、インヴァネスの王都など一晩で制圧できる」

赤髪の青年は、私とモコを見て口元を綻ばす。

「あの王太子が顔を歪めて死んでいく様が見たいねえ」

フィオナは青年の言葉に相槌を打つと、また何か呪文を唱えた。

黒い煙が私とモコを包み込む。

しかし、モコがまた光を放出して、煙は消えた。

「……さすが聖獣」

フィオナは憎らしげな視線をモコに向ける。

「ならば、私とお前で攻撃すればいいのでは?」
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