腹黒王太子の華麗なる策略
6、私の知らない王太子さま
ズトンという地響きとともに落ちた雷。

ザーッと雨も降ってきて、意識が朦朧としていた私だったけど頭がしっかりしてきた。

一体何が起こったのだろう?

息はもう苦しくないけど、今の雷が木に落ちて燃えたのか、焦げ臭い匂いがする。

目を凝らして周囲を見渡そうとしたら、ふわっと私の身体が浮き上がって……。

「大丈夫か?」

私の大好きな人の声が耳元で聞こえた。

え?

目の前には非の打ち所がないクリスの綺麗な顔。

どうやら私は彼に抱き上げられているらしい。

夢でも見ているのだろうか?

ボーッとしている私に、クリスがもう一度声をかける。

「アン、怪我はないか?」

この声は現実のような気がする。

ああ〜、もういろいろ起こり過ぎて頭がついていかない。
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