腹黒王太子の華麗なる策略
チャプンとクリスがお湯に入る音がして、指の隙間から様子をうかがおうとしたが、目の前は真っ暗。

何で?

そう疑問に思ったところで、頭上からクリスの声がした。

「アン、いつまでもそこにいたら風邪を引く」

クリスに抱っこされ、私は強引に風呂に入れられた。

バシャと大きな水音とともに風呂に入った私は、そのままクリスの腕の中にいる。

……痛い。

森の中でフィオナ達に襲われた時に出来た擦り傷がお湯でしみる。

顔を歪めて痛みを我慢していたら、クリスに勢いよく服を脱がされた。

私の服がふわりと宙に浮かんで、岩場にバサッと落ちる。

「ちょっ!クリス!」

怒りながら思わず胸元を手で隠せば、クリスにその手を取られた。
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