腹黒王太子の華麗なる策略
「腕が擦り傷だらけだな。少し血が滲んでる」

そう言ってクリスは、私の腕の傷にゆっくりと口付けた。

私はそんな彼を呆然と眺める。

クリスの唇が離れると、傷は癒えていた。

モコの傷だって治したのを見たけど、やはり驚かずにはいられない。

お湯に浸かりながら、クリスは入念に私の手足の傷を調べていく。

傷を見つけては、彼はそこにキスを落として治す。

気のせいだろうか?

少し気分が悪かったけど、それも治った気がする。

でも、なんだか身体がムズムズした。

花びらで胸とかは隠れて見えないけど、お互い裸というのが落ち着かない。

足のつま先に口付けるクリスを見て、やっと治療が終わったと胸を撫で下ろしたら、彼は悪魔な顔で言った。

「まだ全部診てない」

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