ミンジュンが私を溺愛すぎる件
ジノはそう言うと、テヒョンを連れて部屋から出て行った。
ミンジュンの目の前にあるホワイトボードには、今日のスケジュールがビッシリと書いてある。
ミンジュンはジノに呟くようにお礼を言った。
今さらながら、やっと気づいた事がある。
あの荒んだ少年時代、ジノと友達になれた事は俺にとっては最高の幸運だったと…
オーディションの最終日にあたる今日は、詠美にとっても大切な日だった。
10人に絞られたうちから、今日で5人に減らされる。
そして、残った5人は、年末に韓国で行われる最終オーディションに参加する事ができた。
今日のオーディションには韓国語の長文の台詞があるため、詠美はオーディションまでの短い時間を利用して個別に発音を教えたりしていた。
本来ならテヒョンもここにいるはずなのに、まだ控室に顔を出した形跡がない。
詠美は夢に向かってひたむきに頑張っている若者を見ていると、胸が熱くなった。
そして、ミンジュンの若い頃を重ねて見ている。
縁もゆかりもない芸能界という未知の世界で、一体どうやって成功したのだろう。
詠美はミンジュンの全てが知りたかった。
「…詠美?」
詠美が控室から出て廊下で飲み物を飲んでいると、後ろからテヒョンの声がした。