ミンジュンが私を溺愛すぎる件
詠美は驚いたが、でもすぐにコクンと頷いた。
ジノは近くにあるさっきのオーディションの控室を指さした。
詠美は先に控室で待っていると、近くのカフェのアイスコーヒーを二つ手に持ったジノが笑顔で入って来た。
詠美はジノのその笑顔を見て、内心ホッとする。
「忙しい所、ごめんね」
ジノはそう言うと、持っている一つのコーヒーを詠美に渡す。
そして、ポケットからミルクのポーションやシロップを何個も取り出し、また詠美を笑わせた。
ジノはそんな詠美の笑顔を見て、何となくミンジュンが詠美に惚れた理由が分かる気がした。
ミンジュンが俳優になり、有名なプロデューサーの目に留まり、それからのステップはあっという間だった。
大手の事務所に入ることはせず、俺は右も左も分からないままミンジュンのマネージャーとして走り回り、でも、ミンジュンを成功に導いてくれたのは俺でも本人でもない、そのプロデューサーのおかげだった。
「ジノ、ミンジュンを一流にしたいのなら、今までの自分は全部捨てさせろ。
生活も食事も車も、もちろん女も、一流だけを求めて生きろ。
俳優は夢を売る職業だ。
お涙ちょうだいの貧乏くささは要らないし、それを捨てられない奴はそれまでだ」