ミンジュンが私を溺愛すぎる件
「お姫様、もう熱くなったかな…?
そこの水風呂まで抱き上げて連れて行こうか…?」
詠美は静かに首を横に振った。
そして、力を抜いたミンジュンの腕を取り、ミンジュンの胸元に自分の背中を必要以上に滑り込ます。
「こんなに素敵なお風呂で、こんなに素敵なミンジュンさんに、こんな風に大切に愛されて…
まるで、私が過ごしてきた27年間の全ての夜を、今日のこの夜が一瞬で塗り替えたみたい。
夢のような…って言う言葉が、現実にあるなんて思わなかった。
でも、今の私は、夢のようなを飛び越して、まさか夢?なんて怖くなっちゃう。
…ミンジュンさん?
こんな夢のような素敵な夜を知ってしまった私は、現実に戻れるのかな…
現実に戻るのが怖い…
きっと本当の夢になりそうで…」
ミンジュンは自分自身も切なさに潰されそうになりながら、背中越しに詠美の頬にキスをした。
「夢じゃない… 今が現実だよ。
俺は今ならこんな風に思えるんだ。
貧乏だった俺が必死にもがいて一流にのし上がって、最高級のワインを水のように飲む生活を手に入れて、有り余るお金で日本で事業を展開する事を決めた。
三か月間の日本の滞在にオリエンタルイースト東京のスウィートルームに決め、普段は使わない通訳をこれからの事業進出の兼ね合いのために外資系の派遣会社から日本人を一人雇った。
その日本人はいつでも俺から逃げる事はできたのに、この超豪華なお風呂に目がくらんで俺の側から離れなかった。
俺には見えなかったけどきっと詠美へと続く道がどこかに敷かれてて、詠美を見つける事が俺の成功への道標でもあったんだ。
俺は小さい頃から夢なんてものは信用してない。
目の前に見えるものしか信用しないし、それこそが現実なんだ…」