ミンジュンが私を溺愛すぎる件
ミンジュンと詠美は、詠美の家で夕飯を済ませてホテルへ帰って来た。
詠美の父は今日はお店を早めに閉店し、浅草一美味しいと有名な寿司屋から寿司をとり、ミンジュンにできる限りのもてなしをしてくれた。
小さな居間の小さなテーブルに、ミンジュンを含めた六人が顔を見合わせ食事をとる。
一番張り切っている美沙おばちゃんは詠美の制止を振り切り、詠美の小さな頃のアルバムをミンジュンに見せてくれた。
そこに写っている子供の頃の詠美はとても可愛くて、怒ったり泣いたり笑ったりしている詠美の顔はきっと何時間見ても飽きない。
ミンジュンは本当に楽しくて帰りたくないと思う程だった。
詠美を愛し詠美に愛されるという今は、今までの自分の人生を真っ黒に塗りつぶすくらいのパワーがある。
詠美と出会った以降の俺の人生は、まるで太陽が差したみたいに明るくなって、今まで見えなかった物や気付かなかった事柄を全部見せてくれる。
小さな老舗の煎餅屋での一日を俺は一生忘れないだろう…
もし、詠美と別れる事があったとしても…
「ミンジュンさん、疲れたでしょ…?
コーヒーでも淹れようか?」
詠美は、ベランダに出て物思いにふけっているミンジュンにそう声を掛けた。
浅草から帰ってきてからずっと外を眺めている。