ミンジュンが私を溺愛すぎる件
「あ、うん」
詠美はミンジュンの好きなブラックコーヒーを淹れて、ミンジュンがいるベランダまで持って行く。
「ミンジュンさん、大丈夫…?
ちょっと、うちに長居し過ぎちゃったかもね…」
詠美がそう言いながらミンジュンにコーヒーを渡すと、ミンジュンは今まで見た事がない程の優しい笑みを浮かべて首を横に振った。
「なんか…
すごい、楽しかった…
詠美は大切に育てられたんだなって、すぐに分かったよ」
ミンジュンはコーヒーを二口程飲んで、詠美の手を取り部屋の中へ入る。
「少しは映画制作のために、今日の浅草は役に立ったかな…?」
ミンジュンは詠美をソファに座らせ、自分もコーヒーを持ったまま隣に座った。
「映画か……
なんか、そんな事、もうどうでもよくなってきてる…」
「…え?」
ミンジュンはもう一度コーヒーを飲み、そしてそのカップをテーブルに置いた。
「冗談だよ…」
でも、そう言った後のミンジュンの笑顔は、なんだか寂しそうだった。
ミンジュンは恥ずかしながら、泣きそうになっていた。
今日を入れて詠美と一緒に居れるのも、後20日程しかない。