ミンジュンが私を溺愛すぎる件




ジノは決してバカにしていない。
でも、ミンジュンは苦笑いを浮かべながら悔しそうな顔でジノを見た。


「詠美をどうしようかって、ずっと悩んでる…」


ミンジュンはジノにだけは素直だった。
それは昔も今も変わらない。


「結婚するんだろ?」


ジノはミンジュンの性格から、詠美を何があっても手離す事はないと思っている。
大げさに言えば、地球が滅亡してもも世界が分断されても…
手に入れると決めたのなら、どういう困難があっても汚い手を使ってでも手に入れる、ミンジュンとはそういう男だ。

でも、今のミンジュンからはそういう凄味は何も感じられない。


「結婚はしない…」


ジノはその言葉に驚いた。


「俺は、色々あったけど、お前にとって詠美は救世主だと思ってた。
鋭利な刃物のようなお前の性格が、少しでも丸くなった事は本当に嬉しいと思ってる。

でも、結婚しないって…
お前、詠美なしの生活ができるのか…?

一回でも温かさや癒しを知ってしまったら、もう前の生活には戻れないぞ」


ミンジュンは運ばれてきた料理を見てため息をついた。
詠美との別れを考えたら、食べたいとも美味しそうとも思わない。
きっと、そういう事なのだろう…



< 163 / 212 >

この作品をシェア

pagetop