ミンジュンが私を溺愛すぎる件
詠美は、ミンジュンの最後の言葉が胸の奥深くに突き刺さるのを悲しいほどに感じた。
さりげなく流れていくその言葉は、詠美の心に引っかかり哀しみだけを置いていく。
分かってる、きっと、そう、二人とも分かってる…
私達の未来に希望はないという事を…
どんなに愛してるとお互い囁き合っても、現実と理想は違う事を、もういい大人の二人はちゃんと分かっている…
でも、もし、ミンジュンさんが結婚しようって言ってくれたら…?
韓国で一緒に暮らそうって言ってくれたら…?
本当はすごく嬉しくてミンジュンさんの胸に飛び込みたいけど、でも、私はきっとお父さんの事を捨てられない…
最愛の人を二度も亡くさせたくない…
私が韓国に嫁ぐっていう事は、私を亡くすということだから…
寂しがり屋のお父さんは、きっと、もう生きていけないよ…
お母さんを亡くした私達家族は、そうやって支え合って慰め合って生きてきたから…
「詠美? 大丈夫…?」