ミンジュンが私を溺愛すぎる件
ミンジュンはちょっとだけ怪訝そうな顔をしている。
実の母親であっても、詠美を傷つけたのなら牙を剥いて反撃をするだろう。
ミンジュンはそういう男だ。
詠美は中々言い出せずにもじもじしている。
そんな様子を見ているだけでも胸が痛い。
やっぱりオンマに何か言われたんだろ?
「あ、あのね…
二人のこれからの事を、ちゃんと話し合いなさいって…
もし二人に大きな壁が立ちはだかってるのなら、それがどういう壁なのか、どうすれば乗り越えられるのか、いっぱいいっぱい二人で話しなさいって」
詠美はそう言った後、ミンジュンの表情をずっと伺っている。
ミンジュンは詠美の話を聞き終わると、席を立ち窓辺の方に行った。
もう日が沈み美しい夜景が広がる外の世界を、ミンジュンはどういう気持ちで見ているのだろう。
「お前に言われたくないって感じだよ…」
ミンジュンがボソッと呟いた。
詠美はそれをスルーするべきなのか一瞬悩んだが、でも余計な事かもしれない事をもう口走っている。
「何か…
あまり詳しくは知らないんだけど…
でも、ミンジュンさんのお母さんは、そうできなかった事を悔やんでるみたいだった。
何もしないで諦める事が、何よりも後悔となって、その先の二人を苦しめるって」