ミンジュンが私を溺愛すぎる件
ミンジュンはまだ窓の外を見ている。
思いがけなく聞かされた自分の母親の過去に、自分の気持ちが全く追い付かない。
いつもならどうでもいいと突っぱねるのに、詠美から聞かされた母親の思いはミンジュンの心に強く深く突き刺さった。
「俺にとって母親の過去とか、もうどうでもいい事なんだ…
子供の頃は父親は誰なのかとか興味はあったけど、今ははっきり言って本当にどうでもいい。
俺は私生児として生を受けて、父親の事は何も知らずに生きてきた。
今さら後悔したとか苦しかったとか言われても、俺にとっては何も心に響かないし本当にどうでもいい事なんだ…」
詠美は黙って聞いていた。
ミンジュンの心の傷は想像以上に深く、安易にテヒの過去を話すべきではないと本能がそう告げている。
ミンジュンの両親の真実を話すのは今ではない。
詠美はそう確信して、テヒから聞いた全ての記憶に一時的な蓋をした。
「うん、分かった…
でも、私達の未来は、今しっかり話しておきたい…
私が抱えている不安や問題を、ミンジュンさんに知ってもらいたい…
ミンジュンさんと一緒にいたいのに、前へ一歩を踏み出せない私の話を聞いてもらいたい…」
詠美はミンジュンの後ろに立ちそう言った。