ミンジュンが私を溺愛すぎる件
さっきテヒョンから聞いた言葉を思い出し、詠美は急に不安になった。
お金しか信用しない人…
私の知っている表の顔のミンジュンは癒し系の王子様だったのに、今隣にいるミンジュンは滅多に笑顔を見せない悪役俳優のようだ。
まるっきり別人…
大金を手に入れたら人間って変わってしまうの…?
詠美はこのまま逃げてしまおうかと考えたりもしたが、でも自分が契約書にサインをしてこの仕事を引き受けたわけで、やっぱり契約が切れる最後の日までちゃんと仕事をしなきゃダメと自分に言い聞かせた。
しばらくベッドで呆然としていた詠美は気持ちを入れ直して、持って来たスーツケースから荷物を取り出しクローゼットにしまい込んだ。
お腹は空いているけどそれは今日は我慢して、まずはシャワーを浴びたい…
でも、残念な事に詠美の部屋にはシャワールームは付いていなかった。
すると、トントンと部屋のドアをノックする音がした。
「はい…」
ノックをするのはミンジュンしかいない。
詠美は声を震わせそう返事をした。
でも、返事はしたものの、ミンジュンからは何の応答もない。
詠美は恐怖に怯える心に蓋をして小さく息を吐いてから、ドアを大きく開いた。
ドアを開けたすぐの所にミンジュンは立っていた。
詠美の顔を見た途端、首でこっちに来いと合図をする。