ミンジュンが私を溺愛すぎる件
ミンジュンは詠美のよそよそしさに腹を立てていた。
ミンジュンの周りにいる女性とは全くタイプが違い過ぎて、どう扱っていいのか分からない。
本気で女性に心を開く事がないせいか、相手の女性もミンジュンのお金が目当てで近づいてくる。
金の切れ目は縁の切れ目とよく言うが元々縁なんてないわけだから、金で別れてくれるのならそんな有り難い事はない。
それなのにどういうわけか詠美という女の子は、今日初めて会ったスタッフの一人のはずなのに頭の隅っこにいつも引っかかっている。
ミンジュンがずっと詠美を目で追っていると、詠美はダイニングテーブルを見て目を丸くした。
ミンジュンはそんな詠美に椅子を引いて座るよう促す。
「こ、こんなご馳走を、私も食べていいんですか…?」
ミンジュンは何も言わない。
それはミンジュンにとっては普通の事で、愛想がないとか冷たいとかそう感じている他人の気持ちなんてどうでもよかった。
でも、詠美は俺の答えを待っている。
吸い込まれるような大きな目をパチパチさせて、俺の口元が動くのを当たり前のように待っていた。