ミンジュンが私を溺愛すぎる件
「食っていいぞ…」
「え? もう一度お願いします」
俺の答えを待っていたはずなのに、聞いてないとはどういう事だ。
普通の俺なら二度は絶対に言わない。
それは、二度聞いた時点で、その女は俺の中ではアウトになるから。
なのに、詠美という女は俺の日常を完全に狂わせる何かを持っている。
「食べろ」
詠美の表情は何とも不思議だ。
おどおどしている風に見えて、あまり物事を考えてないようにも見える。
食べろと言われた時点で、にっこり笑っていただききますと言うくらいだから。
「ミンジュンさんは…
い、いや、いいです」
詠美は何も食べずに詠美を観察しているミンジュンを、怪訝そうに見た。
こんなに機嫌の悪そうな顔をしているという事は、もしかしたら、食べ終わった後に代金を請求してくるのかもしれない。
詠美はテーブルに並んでいる料理を見てゾッとした。
このホテルのルームサービスの料理なんて、きっとうん万円を超えるはずだから…
詠美はおしとやかに箸を置いた。
「どうした? もう食べないのか?」
詠美は、ミンジュンのきつい表情と優しい言葉のアンバランスさにまだ慣れない。
「…はい、急に食欲がなくなりました」