ミンジュンが私を溺愛すぎる件
「何で?」
何で?って聞かれて、あなたのおごりなら頂きますなんて口が裂けても言えるはずがない。
それとも、財布にお金が入ってないので、とか?
詠美は小さくため息をついた。
「どうぞ、ミンジュンさんが食べて下さい…
私は部屋へ戻ります」
「何で?」
何で?って、こっちが何で?って聞きたいくらいなのに…
「だって、ミンジュンさんは、私をメイドかお手伝いとかで雇うっておっしゃいました。
メイドやお手伝いは、こんないい食事はしません。
それも、ミンジュンさんと同じこの素晴らしい大理石のテーブルの上でなんて、絶対に食事はしません。
メイドやお手伝いは、キッチンの隅っこで残り物のパンをかじるんです」
詠美は自分の想像力の乏しさにゲンナリした。
お手伝いやメイドと聞いて、小公女セーラの虐げられた生活しか思い浮かばない。
ミンジュンは詠美の話を聞きながら、バカらしくて鼻で笑った。
「俺は自分のメイドにはそんな扱いはしない。
だから、食え」
昔、映画やドラマで目にしたミンジュン様は、笑うと縦えくぼができる癒し系の素敵な王子様だったのに…
だから、食えって、私の知ってるミンジュン王子はそんな悪魔のような言葉は使わない。
「もう、いいです…
もう、お腹いっぱい…」