ミンジュンが私を溺愛すぎる件
ミンジュンはしばらく考えた後、詠美の部屋のドアをノックした。
三回程コンコンと叩いたが、中から何の返答もない。
ミンジュンはもう一度、コンコンとノックした。
今度はかなり力強く…
「……はい」
詠美はドアは開けず、ドア越しに返事をしてきた。
「ちょっと話したい…
ドアを開けてもらえるか?」
ミンジュンがそう言っても、ドアの先に居る詠美は何も言わない。
しばらくの沈黙の後、ドアの鍵がカチャリと開く音がした。
ミンジュンが何も言わず何もせずに廊下で待っていると、ドアの隙間から詠美が顔を出した。
何だかさっきよりやつれて見えた。
それだけなのにミンジュンの胸はチクリと痛む。
「あ、さっきの、詠美の話した事なんだけど…」
ミンジュンがそう言いかけると、詠美は精一杯の笑顔を見せて首を横に振った。
「いいんです…
私の方こそすみませんでした…
ミンジュンさんは、大切なクライアントだというのに、あんなわがままな口を利いてしまって…
ミンジュンさんがここに泊まってほしいと言うのなら、ここに居ます。
でも、宿泊代は私のお給料から引いて下さい。
なくなっちゃうかもしれませんが…」