ミンジュンが私を溺愛すぎる件



何が何だか分からない…
っていうのは、自分自身への言い訳にしか過ぎなかった。

理由は分かっている。
あの日、空港で、詠美を一目見た時、心を鷲づかみにされた。
理性を本能がふっ飛ばして、気が付いたら詠美の腕を掴んで自分の車に乗せていた。

あの時は冷静にその行動の分析はできなかったけれど、今では、自分が詠美に惹かれてやまない理由は分かっている。

詠美は、俺が一番に愛している母親の若い頃にそっくりだった。
私生児としてこの世に生を受けた俺は、たくさんの差別の中、母さんの愛情だけが全てで育ってきた。
そして、どんな状況でも、母さんは俺だけを守り、大切に育ててくれた。

母さんの数少ない写真の中で、俺の大好きな写真がある。
20代の母さんが、愛する人と寄り添って笑顔で写っている写真。
その相手が俺の父親なのかは知らないが、その時の母さんの顔は本当に幸せそうだった。

詠美はその写真の母の顔によく似ている。
母さんは韓国では珍しく二重瞼の大きな瞳をした女性だった。
そして、そのぼんやりとした写真の中の母は、本当に可愛かった。

そうだよ…
俺は、ジノがいつも言うように、完璧なマザコンだ。
でも、そういう風に育ってしまったんだからしょうがないだろ…?


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