ミンジュンが私を溺愛すぎる件



最初は東京タワーが近くに見える増上寺へ向かった。
ホテルからも近かったため思っていた以上に早くに着いた。
お寺の駐車場に車を停めると、ミンジュンは冷たくテヒョンにこう言い放った。


「お前は車で待ってろ、いいな」


「え?」


詠美はそう言うと、ミンジュンとテヒョンの顔を交互に見る。
こんなに天気が良くて参拝客もあまりいない最高のシチュエーションなのに、車で一人で待たすなんてそれはあまりにもテヒョンが可哀想過ぎる。

江戸っ子育ちの情に厚い詠美は、黙っていられなかった。


「ミンジュンさん、こんなに天気がよくて東京タワーもはっきり見えるのに車でお留守番なんて可哀想です。

テヒョンさんは日本のお寺とか見た事あるの?」


詠美がそうテヒョンに聞くと、テヒョンはミンジュンの顔色をうかがいながら首を横に振った。


「ミンジュンさん、いいですよね?
テヒョンさんも一緒に観光しても」


ミンジュンはうんともすんとも言わない。
でも、勝手にしろと小さな声で囁くのが見えた。

詠美はテヒョンの方を見て笑顔で頷くと、テヒョンは肩をすくめ困ったように笑ってベンツの中から出てきた。



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