ミンジュンが私を溺愛すぎる件
「……でも」
ミンジュンはゆっくりとコーヒーを置いた。
「テヒョンをここに置く置かないとかは、俺にとってははっきりいってどうでもいい話だ。
あいつは俺を怒らせた。
それだけで十分解雇に値する」
「じゃ、じゃあ、映画のオーディションの話は?」
「もうチャンスはないな」
ミンジュンはそう言うと、またコーヒーを手に取りゆっくりと飲み始める。
詠美はどうしても納得がいかなかった。
ほんのちょっとだけ私と韓国語で話しただけで、テヒョンの夢が閉ざされてしまうなんてそんなの不公平だ。
詠美はミンジュンの持っているコーヒーカップを取り上げテーブルに載せ、真剣な面持ちでミンジュンの正面に座り直した。
「テヒョンさんを解雇にするなら、私も辞めます。
そうじゃないとおかしいです。
韓国語で会話をしていたのは私とテヒョンさんであって、テヒョンさんが辞めるのなら私も今日限りでここから出て行きます」
ミンジュンは冷めた目つきをして小さくため息をついた。
この俺の物でしかない小動物は無情な狼を前に楯突く勇気を持ってる…
でも、だからって俺がその要件を飲み込みわけはない。
ミンジュンは目の前に座る詠美をジッと見た。
「お前が辞めるのは何があっても認めない。
でも…
一つだけならテヒョンを救う方法はある」