いつか、君の涙は光となる
「仲良くしてやってね。あいつ、本当に友達少ないからさ」
「はい。任せてください」
「そういえば、宗方君と別れたって本当なの?」
「そうですね、つい一ヶ月前に」
 宗方君とは、一年ほど付き合って最近別れた。別れたというより、やっぱり友達同士に戻ることになった、という方が正しい。
 一緒にいることは心地良かったけれど、本当に普通の友達といるようで、私たちはそれ以上の関係になれなかった。過ごした時間は無駄ではなかったけれど、一緒にいる関係性が恋人でなくてもいいと、どちらとも無く気づいて自然と別れた。そういえば、別れたことをまだ吉木には言っていない。付き合うことを報告した時は、どうでも良さそうな微妙な顔をしていたけれど、今度はどんな顔をするだろうか。
「まあ人生長いし、ゆっくり相手見つけな」
「はい、頑張ります」
 パスタが目の前に運ばれてきてからは、私たちは仕事の話や仙崎さんの夫の話に花を咲かせた。なんでもないこんな日常が手に入る日が来るなんて、思っても見なかった。きっと、高校生の時の私が今の未来を見たら、驚くだろう。

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