いつか、君の涙は光となる
「本当の理由があるなら、教え」
「逆なんだってば。詩春が好きだよ、だから一緒にいたくない」
「え……どういうこと」
沙子は、私の目をじっと見つめて、震えた声で言葉を続けた。
「好きなの。付き合いたいとか、そういう意味も含めて」
夏の、まだ明るい夕方に、私は生まれて初めて誰かに好きだと告白された。
予想外すぎる展開に、頭の中が真っ白になる。ただ、言ってしまったという、苦しそうな顔をした沙子が目の前にいて、私は何も言えずに固まっている。
「こんなこと、言うつもりなかった……」
その言葉を聞いて、何か言わなきゃ、という気持ちよりも、私が無理やり言わせてしまったという罪悪感が勝った。言いたくないことを言わせてしまった。もしかしたら、死ぬまで誰にも言わないつもりだったのかもしれない。沙子はそういう性格だ。
「安心してよ、夏休み明けにはどっか行くから」
「でも、私は沙子とずっと……」
「友達じゃダメなんだよ。それで済むなら転校までしてないんだよ。分かってよ。それでも引き止めたいなら私と付き合ってよ」
その言葉に、私は言葉を失った。そんな私の反応を見て、沙子は困ったように笑う。