いつか、君の涙は光となる

今日泊まるバンガローは、大きなロフト付きの立派な建物だった。一目散に暖房をつけてから、身につけていた重い荷物をおろし、一箇所に固める。四方が木材で作られているため、木のいい香りが辺りに漂っていた。
一番はしゃいでいるのは予想通り長谷川で、大きな長机の周りにさっそく座布団を広げてごろんと寝転がった。
「最高、超気持ちいい」
「お前、スーパーで買った食材とかまだ整理してねえんだから、寝るなよ」
宗方君が長谷川の頭を蹴っ飛ばしたけれど、彼は当分動きそうにない。長谷川って悩みとかなさそうだけど、泣いたことあるのかな。そんなことをぼんやり思いながら、スーパーで買い占めたジュースとお酒を冷蔵庫の中にしまった。あっという間に冷蔵庫はいっぱいになり、今日の夕飯でつくるバーベキューの食材はお肉だけ冷蔵庫に入れた。
「兄貴、そういや兄貴の友達来るって言ってたけど、何人来んの?」
「あー、現地集合ってことにしてるんだけど、友達の友達も来るみたいだから、俺も知らない奴いるみたいなんだよね」
「なんだよ、本当いつも適当だなー。食材足りんの?」
宗方君が呆れたように溜息をついた時、ちょうどタイミングよくバンガローのドアが開いた。そこには、大量のお酒を持った宗方兄の友人たちがいた。
「充、お前スマホ確認しろよ、部屋迷ったっつーの」
「ああ、悪ぃ、ちょうど荷物運んでて気づかなかった」
明らかな私たちよりずっと垢抜けた男女四人が入ってきて、私は少し緊張してしまった。万理はイケメンを見つけたのか目を輝かせている。人見知りを発揮して黙り込んでいると、宗方君が、何緊張してんの、と言って笑った。
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