いつか、君の涙は光となる

「充、こいつメイク専攻の悟。俺たちより一個下だけど、アウトドア好きだって言うから連れてきた」
「よろしくお願いします。焼肉屋でバイトしてるんで肉焼くの得意です」
「いいじゃん、任せたわ。今日は俺の弟の高校生もいるけど、仲良くしてやって」
宗方兄の言葉に、その悟さんという人はにっこりと笑って私達を見た。なぜかバチっと目が合ってしまったので、私は軽く会釈をした。さすが美容専門学校の生徒だ。悟さんは高そうなアウターを脱いで、長い前髪を横に流した。髪から覗く瞳は、狐のように鋭く釣り上がっているけれど、とても優しい笑顔を持っている人だ。
一緒にやってきた女性二人は、こんなに寒いのに肩出しニットやショーパン姿でセクシーな格好をしていた。長谷川は完全にそのお姉さん方にメロメロで、早速元気よく絡んでいた。四つほどしか年は違わないのに、この年の四つ差はとても大きいと実感してしまう。
少し呆然としてしまった私を、吉木が邪魔と言って押しのけてきた。

「あ、ちょっと、それデザートのりんご」
「腹減ったんだから仕方ねぇだろ」
「なんで吉木っていつもそう堂々としてるの……」
引きつった顔でそう突っ込むと、吉木は一口サイズに切ったりんごを急に私の前に突き出して、私の口に押し当てた。思わず条件反射的にそれを口の中に入れてしまうと、吉木は無表情のまま、「共犯」とだけ呟いた。


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