いつか、君の涙は光となる
ごめんなさい。そう言いたかったけれど、声が出なかった。そういえば、亡くなってしまった女性には、私と同い年の子供がいると聞いていた。この人が、その子供であることは、いくら何でもすぐに分かった。
「お前が泣く資格なんか一ミリだってない。お前の父親は生きる価値のないクソで、それから生まれたお前もそうだ。同じ罪を背負って、これから先、泣きも笑いもせずに生きていけよ、一生忘れんな!」
その言葉を全身に浴びた瞬間、私の頭の中に雷が撃たれたような衝撃が走った。カッと熱い何かが毛細血管を駆け巡り、一瞬視界がブラックアウトした。
きっとこの特殊な能力が備わったのは、あの時だったのだとはっきりと分かる。
神様が、罰として私から涙を奪って、代わりに人の涙を見せるようにしたんだろうか。色んな人を泣かせてしまったことを忘れさせないために。家族である父が犯した罪を、忘れさせないために。
一人の家族を、不幸にさせてしまったことを、忘れさせないために。
そこから先のことは、なぜだか上手く思い出さない。あの日の少年の言葉だけが、呪いのように心臓を縛り付けている。