いつか、君の涙は光となる
「二人知り合いなの? 宗方、吉木馨の連絡先教えてよー」
「ミーハー心剥き出しじゃねぇか。俺も知らないよ」
本当に吉木だ。よかった。生きている。彼も今同じように年を重ねている。それが確認できただけでもう十分だった。よかった。今の吉木を見ることができるなんて、思っても見なかった。
余程必死な顔で写真を見ていたせいか、亜里沙さんは続けて話してくれた。
「この写真、同じく登山サークルの子が撮ってるらしいんだけど……なんか噂だと有名写真家の娘とかなんとか……」
「なんか華やかだなー」
「宗方、今度合同での登山イベント持ちかけてみてよー」
もしかしたらいつか、吉木と出会える日が来るかもしれない。ドクンと心臓が、不安で大きく脈打った。彼に聞きたいこと、謝りたいことは山ほどある。だけど、彼はもう私なんかに二度と会いたくないかもしれない。そう思うと、とても怖い。まさか、こんなに近くに彼がいたなんて。
下山している時、頭の中のほとんどは吉木のことで埋め尽くされてしまった。何年経っても、何年会っていなくても、私は吉木の存在で簡単に脳内が乱されてしまう。