【BL】好きになってよ。



あのメールが来てから、拓海に会っていない。


もともと学校内では会わなかったからなおさらだ。


あまり人と話すこともないから、人とのかかわり自体減ったような気さえする。



誰も待たせる心配がないからかいつもよりもゆっくり帰る準備をする。


拓海が待ってるからといつも早めに準備してたけど、いつもあいつは俺より早かった。


どんだけ急いでたんだろう。



久しぶりに隣に人がいない涼しさを感じながら昇降口に降りると、大野がいた。


いけ好かないやつ。


朝から変なこと言いだすうえに何を考えてるのかよくわからない。


顔合わせたくないな。



そう思って少し戻る。しばらくしたら行こう。


あいつのせいで俺が待たなくてはいけないのは癪だが、まぁしょうがない。



「し、しんちゃん?」



後ろから聞こえた声に思わず振り返る。


俺をそう呼ぶ奴はこの世で一人しかいない。



「拓海?」



俺に名前を呼ばれて驚いたように肩を揺らした拓海。



「これから帰るのか?」


「う、うん。しんちゃんも?」



いつもよりも一歩か二歩離れた場所で会話をする俺たちは、周りから見たらどう見えているのだろう。



「ああ。じゃあな」



拓海の問いかけにこたえて、俺は昇降口に向かう。



「...うん。バイバイ」



後ろから小さな拓海の声が聞こえた。




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