【BL】好きになってよ。
突然後ろから聞こえた声に驚いて振り返る。
声の主は大野だった。
「山内くん、放課後一緒に帰らない?この前約束してた喫茶店行こうよ!
あ...、こんにちは小野瀬くん。もしかして先に約束したりしてた?」
これ見よがしに心配そうな顔をしてくる大野に、心底腹が立つ。
本当に気持ち悪い。女にこれほどの怒りを感じたのは初めてだった。
「そうだよ」
そう答えようと俺が口を開くよりも先に、拓海が口を開いてこういった。
「ううん、何にもしてないよ。
放課後何にも予定ないし、そこの喫茶店行こ。」
その言葉を聞いた後一瞬、体中の血液が全部抜けきったような感覚にとらわれた。
なんだよそれ。
「えと、だからしんちゃんまた今度話そうね。」
「もういい」
俺の腕をつかもうとした拓海の腕を振り払う。
お前は、昔から変わらないな。
誰に対してもよそよそしくて、誰にも嫌われたくなくて常に周りをうかがって。
昔からお前のそういうとこ、
「大嫌いだよ。」