【BL】好きになってよ。
少し逃げたところで三井が追ってこないことを確かめてから小走りで教室に戻る。
きっとクラスメイトのみんなはトイレだと思ってくれただろう。多分...。
ドンッ
「きゃっ」
「ごめんね、大丈夫!?」
「あっ、山内くん...」
教室の扉を開けると目の前に人がいて、そのままぶつかってしまった。
ぶつかった相手は、大野さんだった。
「大丈夫だよ、ちょうど山内くん探しに行こうとしてたところ。」
にっこり笑って大野さんが言う。
あんな事があったのに、優しく笑いかけてくれるなんて、大野さんは優しいなぁ。
「あっ、あとで話があるから残ってくれる?」
僕がそのまま席に戻ろうとした所を、僕にしか聞こえない声量で大野さんが言った。
「う、うん...。」
真剣な表情に、こっちもつい引き締めてしまう。
胸がキュッと締まった。