【BL】好きになってよ。
「小野瀬くん!」
いつだったかすら、覚えていない。
あのあとしばらくして、大野に名前を呼ばれた。
はっきり言って顔も見たくないし、声すら聞きたくなかった。
「呼び止めちゃって、ごめんね。
放課後、少しだけ残っててくれない?」
「は?」
真剣な表情で、大野が言った。
声が少し、震えていた気がした。
「話したいことがあるの。残ってて。」
「あ、ああ」
大野は、ただ真剣すぎたのかもしれない。
拓海に振り向いて欲しくて、頑張っていたのかもしれない。
やり方は少し乱暴だけど、ただ振り向いて欲しかっただけの行動だとしたら、彼女はとても一途だ。
そんな奴に好かれるなら、拓海も十分だろう。
拓海も、もう大野が好きかもな。