【BL】好きになってよ。
「しんちゃん、僕ね、しんちゃんのこと好き」
「は?」
拓海の口から出てきた言葉は真剣な顔をしているからこそ嫌で。
冗談だろ、と吐き捨てる隙を与えさせてくれはしなかった。
「あ、恋愛的な意味...なんだけど」
ちらりと俺の顔を伺いながらそう続けた拓海に、俺はつい、こう吐き捨てていた。
「キモ」
やってしまったと思った。
拓海の真剣だった顔はどんどん引きつっていって。
「そ、そうだよね!ごめん、変なこと言っちゃって。忘れて?」
引きつった顔のまま、拓海はこう言った。
辛うじて、笑顔を作ろうとしたのがわかった。
あと、家まで数十メートル。
あと、2人の分かれ道まで数メートル。
たったそれだけの間、俺達の間に会話は無かった。
俺の一言で、今まで築いてきた関係が崩れたのだと悟った。