【BL】好きになってよ。
今すぐこいつに殴りかかっても、俺は構わない。
でも、拓海が頭をよぎる。
自分の友達が喧嘩していたらどう思うだろうか...。
最悪、泣く。
拓海は高校に入ってから泣かなくなった。というより、泣いている姿を俺に見せなくなった。
拓海の涙は昔から苦手だ。
見る度、特に自分が原因で泣かせた時、心臓が握りつぶされるんじゃないかと思うくらいに痛くなる。
「そうそう、本題っていうか、改めてね?
...この前は傷つけたらって言ったけどさ、やっぱあれ訂正。
お前がウジウジしている間に、拓海のことはかっさらうからな。
いつまでも自分のそばにいてくれるなんて、そんな馬鹿みたいな油断はしてくれるなよ?」
俺を指さしてこう宣言する。
「お前に言われるまでもねぇよ」
俺はそう言って教室に戻った。
一つ、気づいたことというより、思い出したことがある。
恵は、最近になって特に嫌になったがそれは最近からだと思っていた。
──俺がこいつ嫌いなのは、とっくの昔からだった。