【BL】好きになってよ。



チャイムが鳴って、みんなぞろぞろと自分の席に戻っていく。


最初の授業は現代文だった。



「教科書持ってる?」



大野さんに聞いてみると首を横に振ったので、机をくっつけて見せてあげた。



男子がチラチラこっちを見てくる。



僕はできる限りこんなことしたくない。


注目されるのも嫌だし、大野さんの隣で比べられるのも嫌だった。



***



午前中の授業が終わって、お昼休みになった。


僕は三井と一緒に机を向かい合わせにくっつけて持ってきたお弁当を食べる。


三井はサンドイッチ。



「疲れた...」


「お疲れ
俺は今すぐにでもお前と代わってやりたいよ」


「うう...」



大野さんの相手、すごく疲れた...。


女子は別に平気なんだけど、視線が怖い。


教室の中で自分だけ机をくっつけてる感じも緊張しっぱなしだったし。


ていうか、僕と大野さんの間に分厚い壁を感じる。


大野さんの領域に入れさせてくれないみたいに。


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