【BL】好きになってよ。
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「視線って感じるものなの?」
五時間目。お昼のあとのこの時間。
さっきまでと同じように机をくっつけて授業を受ける。
少し気になって聞いてみた。...沈黙が辛いっていうのもあったんだけど。
「視線って...周りとかからの?」
確認するみたいに聞き返してくる大野さん。
僕は黙って頷いた。
少し考える素振りをしながら大野さんは口を開いた。
「感じるよ。もうほとんど慣れちゃったけど」
「慣れるの?」
思わず聞き返してしまう。
その視線に慣れるのは、大野さんの心の強さなのかもしれないし、必然的にそうなったのかもしれないから。
「うーん。
慣れるって言うか、気にしなくなるって感じかな
変に気にする事は無くなったよ。」
「...すごいね」
自然と口から出てしまった言葉。
あれ、もしかしたら失礼だったかも...!?
「ご、ごめん...失礼だったね...」
僕がそう言うと、大野さんはふわりと笑って
「どうして謝るの?
ふふ、褒めてくれてありがとう」
と、言ってくれた。
たったそれだけの会話だけど、大野さんと僕の間に感じてた壁は無くなった気がする。
そこからの授業は、とても居心地よく受けられた。