【BL】好きになってよ。
3.「よし、お前今日俺の家来い」
「あれ、今日は慎也と一緒じゃねーの?」
放課後。1人で昇降口を出ようとした僕に、けいちゃんが声をかけた。
「う、うん」
「マジで喧嘩?
今までそんなこと一度もなかったじゃん」
「そうだよね...」
生まれてから16年間一緒にいて、しんちゃんと離れたのは初めてだ。
しんちゃんほどはいかないまでも、かれこれ10年目のけいちゃんにはさすがに気づかれる。
「よし、お前今日俺の家来い」
「え?」
「話聞いてやる」
「え??」
「そうと決まれば、行くぞ!」
「えええ!?」
すごい速さで靴を履き替え、僕の手を引っ張って走る。
運動が得意じゃない僕は追いかけるのに必死。
走っていると、しんちゃんの後ろ姿が見えた。
けいちゃんはそれに構わずしんちゃんの真横を通り過ぎる。
通り過ぎた瞬間、僕はしんちゃんと目が合った気がした。
...多分、気がしただけ。
しんちゃんが僕の方を向くなんてありえないから。