先輩から逃げる方法を探しています。
こうなったら最終手段。
真面目な翼ちゃんの性格を利用させてもらおう。
おそらく、翼ちゃんはしゅがーちゃんに外に行くと声を掛けずに出てきただろう。
心配性なしゅがーちゃんが1人で外に出ることを許可するわけがないからだ。
一緒について行くか、俺を叩き起こすか、どちらかするはず。
「…あーあ。しゅがーちゃんに言っちゃおっかな~。夜中に勝手に出歩いてた悪い子がいたって」
「べ、別にいいですよ。言っても」
「そう?一応部活の合宿だし、先生に黙って外出するのはどうかと思うけどなぁ?」
「うっ……」
数秒固まったまま、俺の顔を見た後、諦めた様子でゆっくりと頭を腕に乗せてきた。
「最初から素直にそうすればいいのに」
「嫌々仕方なくです」
溜め息を吐きながら、また空に向かって手を伸ばし、撮影を始める。
星なんて興味はなかったけど、こうやって見てみると綺麗だなと思う。
星空から翼ちゃんへと目線を移すと、少し口を開けたのが見えた。
「俺もそう思うよ」
「え?」
「今翼ちゃん、綺麗だなって思ったでしょ?違った?」
「はい。思いましたが…」
感動したりすると少し口を開ける翼ちゃんの癖。