先輩から逃げる方法を探しています。


こうなったら最終手段。

真面目な翼ちゃんの性格を利用させてもらおう。

おそらく、翼ちゃんはしゅがーちゃんに外に行くと声を掛けずに出てきただろう。

心配性なしゅがーちゃんが1人で外に出ることを許可するわけがないからだ。

一緒について行くか、俺を叩き起こすか、どちらかするはず。


「…あーあ。しゅがーちゃんに言っちゃおっかな~。夜中に勝手に出歩いてた悪い子がいたって」

「べ、別にいいですよ。言っても」

「そう?一応部活の合宿だし、先生に黙って外出するのはどうかと思うけどなぁ?」

「うっ……」


数秒固まったまま、俺の顔を見た後、諦めた様子でゆっくりと頭を腕に乗せてきた。


「最初から素直にそうすればいいのに」

「嫌々仕方なくです」


溜め息を吐きながら、また空に向かって手を伸ばし、撮影を始める。

星なんて興味はなかったけど、こうやって見てみると綺麗だなと思う。

星空から翼ちゃんへと目線を移すと、少し口を開けたのが見えた。


「俺もそう思うよ」

「え?」

「今翼ちゃん、綺麗だなって思ったでしょ?違った?」

「はい。思いましたが…」


感動したりすると少し口を開ける翼ちゃんの癖。


< 100 / 148 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop