先輩から逃げる方法を探しています。


かと言って、遠慮して距離を取られるのは耀先輩はあまり好きじゃないんだったよね。


「私が先に言っておけば良かったね、ごめん。出来れば普通に接して。そのほうが耀先輩も喜ぶよ」

「普通、ですか」

「うん、私に接するみたいに。あんまり特別扱いされるのは好きじゃないみたいだから」

「そう…ですわよね。わかりましたわ。先程は驚きましたが、きちんと接しましょう」

「う、うん。まさか耀くんに会えるなんて思ってなかったからびっ」

「あれ~?翼ちゃん?」

「え?」


りりなの言葉を遮り、後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

この声。この口調。

明らかに1人しか思い当たらない。

いや、でもどうして先輩がここに?

…って理由はなんとなくわかる。

おそらく、私と同様に耀先輩が呼んだのだろう。


「やっほ~」


振り返ると笑顔で手を軽く振る先輩がいた。

いつも以上に顔に傷やあざがあり、よく見ると腕から手先にかけても所々に傷やあざがある。

傷やあざを作っていることは珍しくはないが、ここまで目立つような怪我をしているのは見たことがない。

先輩、一体何があったんだろう。


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