先輩から逃げる方法を探しています。
りりなは此方に近づいて来ると、私の手を握った。
「翼ちゃん……りりなこそごめんね。翼ちゃんの友達なのに…」
「私もごめんなさい。失礼な態度を取ってしまいましたわ…」
「ううん。2人が謝ることじゃないよ。噂があることは事実だし、まぁあんなに怪我をしているのを見たら怖いと思うのは仕方ないことだし」
噂のことを知っている上に、いつも以上に出来ている傷とあざを見たら怖いと思うのも無理はない。
正直、私もあれは驚いたぐらいだ。
「私は噂などよりも翼を信じますわ」
「りりなも。翼ちゃんの友達だもん。いい人に決まってるよね」
「…ありがとう。香澄、りりな」
「翼…あなた……」
「え?何?」
「今、翼ちゃん…」
トントンっとドアがノックされる音が聞こえる。
ドアを開けると、着替え終わった様子の耀先輩がいた。
「翼にちょっと話があるんだけどいい?」
「私ですか?はい、大丈夫ですよ」
「悪いけど、りりなと香澄は先に行っててくれる?すぐに俺らも行くから」
「ええ。わかりましたわ」
「じゃ、翼ちゃんまたあとでね!」
りりなと香澄は手を振り、部屋から出て行った。