先輩から逃げる方法を探しています。
…怖いとか思われたり引いたりしたのかな。
俺のこと……嫌になったりしたかな。
耀ちんは優しいから治療してくれているだけで、これが終わればもうずっと話すことも、会うこともしてくれなくなるのかな。
どんどんネガティブな考えが広がっていっていると、ようやく耀ちんは口を開いた。
「どうしたんだ?この怪我は」
「……………」
「はる」
「…んー……どうしたんだろうねぇ」
そう誤魔化すように答え、そっと顔を上げると耀ちんと目が合った。
治療してくれていた手を止めて黙ったまま、ただじっと俺を見ている。
ちゃんと正直に答えないといけなさそうだ。
「………喧嘩した」
「喧嘩?どうして?」
「別に意味はないよ。ただ喧嘩した。それだけ」
顔を見ているのが怖くなり、顔を逸らして答える。
ついさっきまでは会いたくて仕方なかったけど今となれば会わなければ良かった。
自業自得の結果だ。