先輩から逃げる方法を探しています。
りりーはまだ顔を上げずに下を向いたまま。
「謝られるようなことは何もないよ」
むしろ治療をしに連れてきたのがあの3人ではなく俺だったことのほうが謝りたいくらいだ。
でも、耀ちんは立場上女の子と2人きりで部屋に入るのはまずいだろうし、翼ちゃんやかすみんだと連れてくるのに力がいるだろうし…仕方なく俺が運んできたけど。
俺のこと怖がってるのに2人きりなんてもっと嫌だっただろうな。
「むしろ俺のほうこそごめんね。俺以外が良かっただろうし」
その言葉を聞くと首を横に振り、ようやく顔を上げてくれた。
「そんなことないっです!本当に!本当にですっ……!」
先程までの弱々しい声でなく、力強い声でそう言う。
「ただ、タイミングが…わからなくて。本当はりりなも翼ちゃんが言ってた通り…松木先輩はいい人だと思います……だから…仲良くなりたいです…」
翼ちゃんといい、耀ちんといい…かすみんもりりーも皆変だ。
俺なんかと仲良くなりたいなんて言ってくれるなんて。
「…りりーって敬語使うの苦手でしょ〜?」
「え?な、なんでわかったんですか?」
「話聞いてるとそんな気がして。だから敬語使わなくていいよ」
「本当に…いいんですか?」
「もちろん。そのほうが仲良くなれると思うし、俺も嬉しいな」
「えっと…それじゃあ……うんっ!よろしくね。は、はるくん!」
「よろしくね、りりー」
最初はかすみんとりりーと仲良くなれるなんて全く思っていなかったから、こんなに楽しく遊べるとは思っていなかった。
きっと、翼ちゃんが2人に俺のことを「いい人だ」と言ってくれたおかげだ。