先輩から逃げる方法を探しています。
佐藤先生は両手を合わせ、軽く頭を下げる。
「だから伊坂さん…お願いっ!」
「う、うー…ん………」
先生からのお願いを断るのは気が引けるが、これ以上関わりたくないと思っている先輩に自ら関わりにいくのは嫌だ。
「すみません。私には無理です」
「えっ…そ、そこをなんとかお願い!」
「無理です」
「……そう…そうよね…。ごめんね、無理にお願いをしちゃって。来てくれてありがとう」
「いえ。では、失礼します」
わかりやすく落ち込む佐藤先生には申し訳ないが、仕方のないことだ。
人間誰しも自分が可愛いものである。
職員室を出ようと佐藤先生の机から離れようとした時、ふと声が聞こえた。
「卒業できなくて留年になりそうね」と。