先輩から逃げる方法を探しています。
その言葉を聞き、私の足はピタリと止まる。
留年。
もし先輩が卒業ができなくて留年してしまった場合、もしかすると最悪あと約2年も先輩に絡まれるのではないか。
その前に飽きてくれるのがなによりもいいのだが、もしも飽きなかった場合、私の平和な学校生活が2年も失われる可能性がある。
…最悪だ。
だが、卒業してくれればそれは最悪約1年。
「先生」
「あら?どうしたの?帰ったんじゃ…」
「その話、引き受けます」
「えっ?」
「私が先輩を必ず体育祭に出るように説得します」
佐藤先生は目を大きく開け、ぱああっと笑顔になる。
私の手を両手で包むように握り、ぶんぶんと縦に振った。
「ほんとにいいのっ!?ありがとう!!先生嬉しいわ!!」
先生のためでも、先輩のためでもない。自分のためだ。
先輩には無事にさっさと卒業してもらおう。