先輩から逃げる方法を探しています。
まさか先輩がこんなに手強いとは思わなかった。
もっとホイホイと作戦にハマってくれると思っていたのに…。
もうなんの手立てもなく諦めかけた時、先輩が先に口を開いた。
「そんなに俺に出てほしいの?」
「はい。もちろんです」
「ふーん。そっかそっか。翼ちゃんがそーんなに出てほしいなら出てあげてもいいよ」
「本当ですか!?」
急にどうして出る気になってくれたのかは謎だけど、出てくれるのであればどうだっていい。
「約束ですよ。絶対に出てくださいね」
「はいはい。その代わり翼ちゃんもちゃーんと守ってねぇ」
「何をですか?」
「とーっても良いご褒美ってやつ。期待してるよ」
「え。あ、もちろんです。約束は守ります」
やっぱり先輩はあんなこと言ってたけど「とーっても良いご褒美」が気になったのだろうか。
言ってしまった以上は仕方ない。それに出てくれるんだし。
ご褒美はちゃんと用意してあげよう。