先輩から逃げる方法を探しています。


そして、体育祭当日。

自分の出番がない時にちょこちょこと先輩を探していたが、全く見つからない。

もうすぐ学年別リレーが始まるというのにどこにいるのだろうか。


「はっ…!」


もしかして私は先輩に騙されたのかもしれない。

「出る」と言ってしまえば、その後は私がしつこく「出てください」と言わなくなる。

急に出るなんて言い出したのはご褒美が気になったからじゃなく、そっちだった可能性が出てきた。

くっ…先輩に騙されてしまった。悔しい。


「なーに翼ちゃん負けたの?」

「えぇ。ちょっと個人的に…って先輩!?」

「やっほー。おはよ~」

「いやもう午後ですけど。なんならほぼ夕方ですけど」


急に後ろから現れたのは先輩だった。

もう来ないと思っていたのに驚きだ。

< 31 / 148 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop