先輩から逃げる方法を探しています。


もしかしたら人懐っこかったのかもしれない。

猫相手に、なんて思われるかもしれない。

それでも俺はなんだか嬉しかった。

俺の膝の上にある小さな温もりがとても温かく感じた。

それから毎日、校舎裏の倉庫前に行くと子猫は必ずいた。

俺を待ってくれているかのように。

子猫に出会って約3週間後。

いつものように校舎裏へと行くと1人の女の子がいた。


「どうしたの、おまえ。迷子?」

「にゃー」

「…可愛い」


その子は「可愛い」と言っている割には無表情で子猫を撫でている。

見つからないように今日は帰ろうかとも思ったが、足は自然と前に進んでいた。


「あれれ~知らない顔がいるなぁ。ご飯足りるかな」


大抵は俺の顔を見れば黙って走り去るか、「ごめんなさい」「すみません」となぜか謝って走り去るか、この2択だ。

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