先輩から逃げる方法を探しています。
ある日、珍しく翼ちゃんが校舎裏に来ていた。
俺に会いに来てくれたのかと嬉しかったのもつかの間。
「先輩はどうして私にほぼ毎日会いに来るんですか?」
わざわざ俺が来るのを待ってまで言いたいことだ。
きっと俺の噂話でも聞いたのだろうとすぐに察した。
あんな噂話のせいで翼ちゃんとの関係が終わるなんて俺は御免だ。
だけど、翼ちゃんが俺のことを嫌いなのに無理に関係を続けようなんて気はない。
「…翼ちゃんはそんなに俺のこと嫌いなの?だから俺と会うのは嫌?関わりたくない?」
これで「嫌い」と言われたらもう関わるのはやめよう。
そう思って質問した。
まぁ、あんな噂を聞けば嫌いにもなるだろう。
嫌いにならなくとも関わりたくないのであれば嘘でも「嫌い」と答えるはずだ。
「別に嫌いというわけではないですが、もう関わりたくはないです」
その答えを聞いて嬉しかった。
「関わりたくないです」とは言われているが、「嫌いというわけではない」という言葉が。