先輩から逃げる方法を探しています。


翼ちゃんは優しい子だ。

「関わりたくない」と言ったが、俺が声を掛けると立ち止まって話を聞いてくれる。

初めのうちは問い掛けても無視をするが、時間が経つと答えてくれる。

それにたまに相槌を打ってくれる。

それが嬉しくて笑うと、翼ちゃんは目を逸らす。

翼ちゃんが目を逸らす時は、なにかをついやってしまったと後悔して恥ずかしがっている時。


「先輩」

「ん~?」

「………」

「翼ちゃんってばやっさし~」


そして俺が怪我をしている事に気付くと黙って絆創膏をくれる。

そんな優しくて面白いお気に入りの翼ちゃんに会うためが2つ目の理由だ。

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