先輩から逃げる方法を探しています。
5月中旬。
今まで翼ちゃんから俺に話しかけることはなかったのに、急に話しかけてきたと思えばその内容は「体育祭に出てください」というもの。
聞いてみれば案の定、しゅがーちゃんの差し金だった。
まぁ、それがわかった以上言うことを聞く気もなく断ったのたが、翼ちゃんは中々に食い下がらない。
こんなことじゃなくて、普通に翼ちゃん個人の話として俺に話しかけて欲しいのにな。
「体育祭に出てくれたらなんと…とーっても良いご褒美をあげますよ」
翼ちゃんらしからぬことを言ってくる始末だ。
まったく…誰の入れ知恵なんだか。
「いやだ。出ないよ」
「えっ…」
俺が容易くそんなご褒美なんて言葉に乗るとでも思ったのだろうか。